顧問社労士の部屋 建設専門の社労士が労働安全についてわかりやすく説明します。

労働力の需給を調整したいときは?

建設業の大きな経営課題の一つが労働力の需給バランス問題です。社員を雇用している場合、仕事がなければ社員を遊ばせることになります。また仕事が多い場合は人手不足が生じてしまいます。

この課題を解決するために、建設業では、「一人親方制度」や「人夫貸し」があります。「一人親方制度」は法的には問題ありませんが、現場での実態は違法な労働者派遣(偽装請負)になっていることが多いです。また「人夫貸し」は法的に認められていません。なぜなら「人夫貸し」とは偽装請負になるからです。

このように一人親方も人夫貸しも偽装請負の温床となっているのが現状です。

偽装請負は現場を維持するための必要悪として業界では当たり前のように受け入れられていますが、法的には違法です。それでは偽装請負を避ける道はないのでしょうか?

 

合法的な労働力の需給制度としては、「建設業務労働者就業機会確保事業」があります。

この制度は、建設業の事業主団体に所属する建設会社同士で、自社の建設労働者の貸し借りを行う制度です。この制度を使うためには、厚生労働大臣の認可や事業者団体の構成員としての許可が必要になります。そのためには構成員になろうとする会社のコンプライアンスが問われるのは言うまでもないことです。

会社に違法の履歴がある場合、なかなか合法的な恩恵の機会があるにもかかわらず、それを避けてしまう傾向があります。特に建設会社はそのような傾向が強いです。ゴーイングコンサーンである会社にとって、これは大きな矛盾であり、解決すべき大きな課題です。過去を隠すのではなく、未来を向いて新しくなる勇気が必要ではないかと思われます。

顧問社労士の部屋プロフィール

井上敬裕

井上敬裕 社会保険労務士・中小企業診断士

大田市場青果工場で約8年間工場長を務めた後独立。
工場の生産性・安全衛生管理と人事労務管理の両方をワンストップで行うことができる。フォークリフト講師の資格を持っている。